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意外と簡単?資金繰り表の作り方や活用法を解説!

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塩谷宣弘
この記事の監修者
Actvision税理士事務所
塩谷 宣弘 ( しおたに のぶひろ )
1981年11月生まれ、大阪府豊能郡在住。大学卒業後、「KPMG税理士法人」に勤務し、その後父親の事務所である「税理士法人SHIOTANI KAIKEI」の代表社員として所属。2014年8月に「Actvision税理士事務所」として開業。

資金繰りをどうしていくかについては、中小企業の経営者にとってとても重要な問題です。資金繰り表の作り方を知っていれば将来の見通しが立てやすく、融資を検討する際にも役立ちます。
ここでは、「資金繰り表を作ってみたいけど、計算が難しいのでは?」と考えている経営者の方向けに、簡単な資金繰り表の作り方や活用法について解説しています。わかるようでわからない資金繰り表の概要やキャッシュフロー計算書との違いについても紹介していますので、経営に関する基礎知識としても役立つ内容となっています。

目 次 arrow

資金繰り表とは

はじめに、資金繰り表の概要について解説します。

会社の一定期間の入出金予定を表にしたもの

資金繰り表とは、会社にいつの時点でいくら入金があり、いつ出金の予定があるかを一定の期間に絞ってリストアップしたものです。例えば商品代金が1ヵ月後に入金される場合、資金繰り表を作ることで、次回の入金までにどの程度支出があるかを確認できます。

資金が不足するリスクを回避できる

通常は商品やサービスを提供したら売上が立ちますが、飲食店や小売業といった現金による取引を除き、実際に入金があるまでにタイムラグがあるのが一般的です。
入出金の予定が事前に把握できるため、仕入れや備品購入の時期を調整するなどして、資金が不足するリスクを回避することが可能です。
逆に、いつの時点でどのくらいの資金が必要となるかがわかるため、資金調達のタイミングを確認する際にも役立ちます。

資金繰り表とキャッシュフロー計算書の違い

資金繰り表と似た名称の「キャッシュフロー計算書」というものがあります。どちらもお金の動きを見るための書類ですが、資金繰り表とキャッシュフロー計算書とでは、お金の動きを見る時期が異なります。
資金繰り表が将来の入出金予定を記入した表であるのに対して、キャッシュフロー計算書は過去の入出金の流れをまとめたものです。
キャッシュフロー計算書は上場企業などが株主や投資家向けに作成するもので、資金繰り表は中小企業が資金管理や融資申請時の資料として作成するのが一般的です。

資金繰り表の活用方法

次に、資金繰り表の活用方法について解説します。資金繰り表を作ることで、以下のようなケースに活用が可能です。

黒字倒産のリスクを回避する

黒字倒産とは、売上や利益が出ているにも関わらず、入出金のタイミングが合わないために資金がショートしてしまうことです。
「毎日帳簿をつけていればお金の動きはわかるのではないか」と考えたくなりますが、実は会計と実際の入出金にはズレがあり、そのために資金のショートを見過ごしてしまう可能性があるのです。
気づかずに資金がなくなってしまう原因としては
・売掛による販売取引
・在庫
・借入金返済
・固定資産
等が挙げられます。
売掛による販売取引では、商品やサービスを販売してから入金されるまでに一定の期間がかかりますが、帳簿上では販売したその日に売上が立ちます。
在庫商品についても、お金を払って仕入れるものの、実際に売れるまでは資産として計上されます。
借入金についても、借入時に現預金は増えることとなりますが、月々の返済金は発生します。返済時の支払いは費用とならないため、返済分の現金が費用とは別に出ていくことを把握しておかなければなりません。
固定資産については、一括で支払い購入したとしても、実際に減価償却として費用計上できるのは一部の金額だけとなります。そのため、実際に費用として記帳された金額と現預金に相違が出てくるのです。

こうした会計と実際の入出金のズレにより、売上が上がっていても資金ショートが起こる可能性があります。資金繰り表で先の入出金が管理できれば、黒字倒産のリスクを回避しやすくなるでしょう。

融資申請時に銀行へ資料として提出できる

資金繰り表は黒字倒産を回避するためのツールとして活用できるだけでなく、銀行などに融資申請を行う際、参考資料として提出が可能です。
資金繰り表では、企業の直近の財政状況がわかるようになっています。そのため、業績は好調で返済できる余裕はあり、一時的に資金が不足している点などがアピールできるのです。

経営計画策定時の参考にできる

資金繰り表で一定期間の入出金予定を確認できると、仕入れや買掛金の調整などの計画が立てやすくなります。
売掛金の入金前に設備投資で多額の支出が必要となるため融資を申請する、借入金の返済が増える前月の仕入れを減らす、在庫一掃セールで現預金を獲得するといった計画について、最適なタイミングで実行しやすくなるでしょう。

簡単な資金繰り表の作り方

キャッシュフロー計算書と異なり、資金繰り表はシンプルな表での作成が可能です。エクセルなどの表計算ソフトでも作れるため、お小遣い帳感覚で使いやすいようにカスタムすることもできます。ここでは、簡単な資金繰り表の作り方について解説します。

資金繰り表作成に必要なもの

資金繰り表作成に必要な資料は以下の通りです。
・月次推移試算表:月単位で出した貸借対照表と損益計算書です。売上や固定費、在庫状況や未回収の売掛金など、月ごとの資産状況や収支を見るために使います。
・現金出納表、通帳など:現預金の入出金履歴や残高を見るために使います。現金出納帳と現金残高が一致しているか、預金口座の残高が帳簿と合っているかなども確認しましょう。
・手形帳:手形による売掛、買掛取引がある場合は準備しておきましょう。
・借入金返済明細:返済予定のある借入金がある場合は準備しておきましょう。

エクセルを使用した資金繰り表の作り方

上記の書類が準備できたらエクセルを開き、表を作成していきます。大まかな手順は以下の通りです。
1. 必要な項目の入力
エクセル内に必要項目を入力していきます。横列には月ごとの実績や予測を入れるため、縦列に項目を入力します。項目の主な内訳は以下の通りです。
・前月繰越:収支の前月繰越額を記入します。前月の翌月繰越分と同額になるため、式を挿入してもよいでしょう。
・営業収支:現預金売上や回収した売掛金などの収益と経費を入力します。「営業収支」として左端でセルを結合し、次いで「収入」と「支出」の2つに結合して科目ごとに入力するとわかりやすくなります。
・財務収支:借入金の入金や返済予定などについて入力します。短期に借り入れ、支払いを行う「短期借入金」と、長期に月々返済していく「長期借入金」を分けて入力することで、月々のお金の動きがより把握しやすくなるでしょう。
・翌月繰越全体の収支を計算し、翌月へ繰り越せる金額を入力します。縦の収益から支出をマイナスし、調整等を入れて算出される式を挿入してもよいでしょう。

こうした資金繰り表の作り方は、あくまでも一例です。自社の経営状況や目的に合わせて、項目や並びなどは自由にカスタマイズしてみてください。

まとめ

資金繰り表は、貸借対照表や損益計算書からは見づらいお金の動きを把握するのに便利なリストです。会計ソフトから自動で作ることもできますが、シンプルなものならエクセルなどを使用して、自身でカスタマイズする作り方もおすすめです。
資金ショートや黒字倒産を回避して経営計画を立てやすくするメリットがあるほか、融資申請時の提出書類としても活用できるため、資金繰り表の作成は中小企業の経営者なら簡単な資金繰り表を作れるようになっておくとよいでしょう。

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