パーパス経営とは

パーパス（purpose）とは、元々は目的や目標、意図などを表す言葉でしたが、そこから波及し、今では社会における存在意義を表す言葉として利用されています。パーパス経営は、自社が社会の中に存在する意義を見いだし、パーパスに機軸を置いた事業運営を進める経営スタイルのことです。

従来の経営の概念とパーパス経営の違い

従来、企業の経営はMVVとも呼ばれる、次の3つを軸に考えられていました。
・Mission（ミッション）
企業として成し遂げるべき使命
・Vision（ビジョン）
企業の理想的な姿や将来像
・Value（バリュー）
企業の価値観や行動の指針
つまり、企業は与えられた任務（使命）を遂行するために、企業として目指すべき理想像を掲げ、企業の持つ価値観に基づき、企業活動を営んできたのです。一方、パーパス経営では与えられた使命を成し遂げるのではなく、社会に対していかに自社のパーパス（存在意義）を示し、どのように社会に貢献ができる、企業活動ができるのかという点を軸にした経営法です。
MMVに基づいた経営は、未来に成し遂げるべき使命や未来に向けてあるべき企業の姿を目指す経営スタイルであるのに対し、パーパス経営では今を見つめ、企業としての存在意義を示すための活動をするという違いがあります。

パーパス経営が注目される背景とは

なぜ、近年パーパスを軸に経営に取り組む企業が増えてきているのでしょうか。その背景には、次の3つの要因が考えられます。

SDGs・サステナビリティ経営の広がり

SDGs（Sustainable Development Goals）は、2015年の国連総会で採択された持続可能な開発のための17の国際目標です。SDGsでは持続可能な社会の実現を目指すために、個人として取り組むべき課題に加え、企業が主導して取り組むべき課題についても言及されています。
企業が持続可能な経営、サステナビリティ経営を実践するためには、利益だけを追求するのではなく、環境や社会、経済にも配慮をした経営を進めていく必要性が出てきたのです。サステナビリティ経営をするためには、自社がどのように社会貢献ができるのか、自社の社会における存在意義を明確にしなければなりません。そこで、企業としてのパーパス（存在意義）を明確に定め、パーパスを軸にした経営が求められるようになったのです。

ミレニアル世代やZ世代が持つ価値観と求められる企業の姿勢

ミレニアル世代は、1980年～1990年代半ばに生まれた世代、つまり2000年代に20歳を迎えた世代です。またZ世代は、ミレニアル世代の後、1990年代半ば～2015年に生まれた世代です。ミレニアル世代・Z世代は、年齢にすれば40代前半～7歳程度までの人たちです。
この年齢層は、上の世代と異なり、モノへの執着が少なく、社会的な問題に関心が強いという特徴があります。1992に開催された地球サミットは、持続可能な開発の実現のために具体的な方策を得ることを目的として開催され、後のSDGsに深く関連するリオ宣言が宣言されました。したがって、ミレニアル世代やZ世代は、幼いころからサステナビリティ社会についての情報に多く触れて育ってきたのです。
そのため、社会の中心となっているミレニアル世代やこれから社会を担うZ世代は、利益の追求のためにサステナビリティを無視した経営をする企業を選択しない傾向にあります。つまり、サステナビリティ経営を実現しなければ、社会の中心となるこの世代から支持されない可能性が高まるのです。この点もパーパス経営を進める企業が増えている理由の一つでしょう。

DXの推進と普及

DXとはデジタルトランスフォーメーションのことで、AIやIoTなどのデジタル技術を活用してこれまでの伝統的なシステムや企業風土から脱却し、新しいビジネスモデルや新たな業務フローを作りだすことを指します。
デジタル技術を導入することによって、さまざまなデータを活用できるようになり経営状況や業務効率などを可視化し、業務効率や生産性の向上を実現できるようになりました。DXはこのデジタル技術の導入による業務改善から一歩進み、会社の組織の在り方や新たなビジネスモデルの構築までを目指すものです。トランスフォーメーションは「変化」や「変形」、「変革」を指す言葉であり、DXはデジタル技術を活用して新たな企業の形や社会の形の実現を意味する言葉として使用されています。
DXでは、製品やサービスなどといったものを変えるだけでなく、企業風土や組織、ビジネスモデルの変革を目指します。企業風土やビジネスモデルを変革するには、社会における自社の存在意義を今一度考え直さなければなりません。つまり、DXを実現するには、パーパス（存在意義）を再考し、パーパスを軸にした経営スタイルに舵を切る必要があるのです。

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まとめ

パーパス経営とは、パーパスを軸に企業経営を進める手法です。パーパス経営では、従来の利益を求めるだけの経営ではなく、企業として社会にどのように貢献できるのかを考えながら経営に取り組むことが、結果として企業の成長につながっていきます。
パーパス経営に取り組みたいけれど、具体的にどのような方法でパーパスを策定すればよいのかわからないというお悩みも出てくることでしょう。そのような場合には、ぜひ、Actvision税理士法人の無料相談や経営手法についてわかりやすく解説する「経営すごい塾」などをご活用ください。